昨今の経済危機により企業を取り巻く経営環境はますます厳しさを増しており、従来の市場経済システムにパラダイムシフト(思考と枠組みの変化)が求められております。
企業の社会的責任(CSR)はますます大きくなり、現在多くの企業がCSRの発展に努める一方、一種のCSRバブルともいえる状況にあります。現在の業績悪化時において“みせかけ”や“show window”のCSRは大きく見直され、本業(コア・コンピテンス)を通じたCSR活動が、これからの企業戦略の一つのキーワードであり、持続可能な発展のチャンスと考えられます。
一方、貧困、福祉、少子高齢化、雇用不安など多くの社会問題が顕在化するなか、これらの問題をビジネスとして解決するソーシャルビジネスが萌芽期を迎えております。
このような状況を踏まえ、「新しい市場経済における企業の社会的役割 CSR戦略としての環境とソーシャルビジネス」研究委員会を設置しました。企業における本業を通じたCSR活動、環境ビジネスの展開、ソーシャルビジネスの発展に着目して、持続可能な自然環境・社会環境構築のための新たなビジネス文化の創造について、先駆的な事例報告などを通して議論を深めてまいりました。
また、平成22年3月に公開シンポジウム「第20回GISPRIシンポジウム 進化するCSRを探る -新しい市場経済における企業の社会的役割-」において、5名のCSR研究者、企業担当者による講演・パネルディスカッションを行ないましたので、併せて報告いたします。
ここ数年でCSRは企業経営において重要な位置を占めてきており、CSRレポート(社会・環境報告書など)を発行する企業が増加しております。CSRは一過性の流行ではなく、企業が永続的に続けていくべきものであります。本報告書がCSRを考えていく上で、お役に立てれば幸いです。
末尾ながら、本研究委員会で多大なご指導をいただきました井出委員長、委員各位、また研究委員会でご講演いただきました講師の方々、シンポジウムにご登壇いただき貴重なご発表とご討議をいただきました講師の方々、ならびに本調査研究にご協力いただきました関係各位に心よりお礼申し上げます。
【委員長】 | 井出 亜夫 | 日本大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授 |
【委 員】 | エクベリ 聡子 | 株式会社イースクエア 取締役 |
大宮 正 | 西村あさひ法律事務所 弁護士 | |
岸本 幸子 | 特定非営利活動法人 パブリックリソース センター 事務局長・理事 | |
澁谷 隆 | 富士ゼロックス株式会社 CSR部部長 | |
塚本 一郎 | 明治大学 経営学部 教授 | |
友村 自生 | イオン1%クラブ 事務局長 | |
山口 範子 | 特定非営利活動法人 日本水フォーラム チーフ |
報告書目次
第1部 研究委員からの報告 | ||||||||||||||
21世紀における市場経済と社会的存在としての企業の役割・責任 | ||||||||||||||
井出委員長 | ||||||||||||||
企業を取り巻く環境の変化と戦略的CSR | ||||||||||||||
エクベリ委員 | ||||||||||||||
CSRを法的視点から考える | ||||||||||||||
大宮委員 | ||||||||||||||
CSR(企業の社会的責任)からCSR(Citizen’s Social Responsibility)へ~社会貢献市場の創出~ | ||||||||||||||
岸本委員 | ||||||||||||||
理科系大学院生相手にCSRを講義する | ||||||||||||||
澁谷委員 | ||||||||||||||
イオンの社会貢献活動 -「ラオス学校建設支援」活動報告- | ||||||||||||||
友村委員 | ||||||||||||||
1000ドルでできること。小さな力を大きな力に。 | ||||||||||||||
山口委員 | ||||||||||||||
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第3部 第20回GISPRIシンポジウム 進化するCSRを探る |
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-新しい市場経済における企業の社会的役割- 講演録
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